グラン・トリノ
新百合ヶ丘のワーナーマイカルで『グラン・トリノ』を観た。
良かった。余韻がなんともいえない。最後に流れる曲が静かに胸に広がる。
クリント・イーストウッドの監督・主演の映画だ。監督した前作の『チェンジリング』が良かったので、この映画も興味があった。
画面のつくりは良く似ている。静かで少し色のトーンが抑えてある。最近の彼のパターンのようだ。
映画館はいつになく観客が多かった。で、久々にこの映画で笑った。ぼくもそうだが、観客全員がだ。
映画館で笑い声が聞こえることは最近では珍しい。クスクス程度なら笑ったりもするが、映画館で声を出してはいけないような雰囲気もあって、誰もが遠慮しているようなところがある。今回のようにみんなが声を出して笑うことは本当に久しぶりだ。
この映画、コメディでもないしふざけているところはない。ストーリーはいたって真面目で、男の戦いでもあるわけだ。でも、ユーモアたっぷりで、とくに年配のご婦人が笑える場面が多い。イーストウッド演じる頑固親父ウォルトが愛すべき人だということが判るし、先立たれた最愛の奥さんとは心を通じていたであろう、というようなことを感じさせる場面がちりばめられている。
その主人公ウォルトは、朝鮮戦争で心の傷を持つことになった老人である。二人の息子達家族とは心があまりうまく通じておらず疎遠な関係にある。
しかし孤独ではない。街にいけば軽口を叩いて笑いあえる友だちがたくさんいる。手先が器用でなんでも自分でできる。いまどきのふざけた若者は嫌いだ。礼儀を大切にしない人間には我慢できない。
だから、当初ぼくが予告編を見て思い描いていたような、孤独な頑固親父が次第に心を開いていくヒューマンドラマ、というような単純な話ではなかった。
そんな彼の隣に、少数民族モン族の一家がやってくる。そこにいる姉スーと弟タオ。タオは大人しくて気が優しい、ゆえに不良の従兄弟達から「かわいがられ」ている。
そんな姉弟と関わりあうことになって、ウォルトがついに決意したこと。それがこの映画の肝だ。
ウォルトが「トロい」けど礼儀正しいタオに託していきたかったこと。それがグラン・トリノという愛車にこめられている。決して人を傷つけないこと、愛しいものを愛し続けること。
映画最後になって、ウォルトが考え決意したことが実行されるのだが、ぼくたちの意表をつく。しかし、そのときすべての伏線がその場面につながっていたことが判る。ちょっと「七つの贈りもの」に似ている感じもある。
そしてエンディング。湖畔の道をグラン・トリノが走り去る。そしてそのままエンドロール。静かな曲。クリント・イーストウッドが唄っている。渋い。良い曲だ。その曲に聞き入りながら、ぼくたちは今見たばかりの映画を反芻し、静かに感動する。
面白かった。
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コメント
>こけしさん
感想、お待ちしております。
投稿: mIKE | 2009.05.17 19:53
まだ観ていないので、観ようとおもいます。
投稿: こけし | 2009.05.14 21:21