富士登山、須走口から
富士山に行った。
今回は須走口から。
前回来たのは7年前、御殿場口からの苦難の道であった(『富士登山、ばてた』参照)。
■一日目
車が立ち往生するんじゃないかと思う程の急坂の続く道、富士あざみラインの終着点にある駐車場は満車だったが、なんとか一台滑り込んだ。あたりは霧でほとんど見通しが悪い。
いきなり2000メートルの高台にきてしまったので、身体を高度順化させるために、駐車場横にある茶店菊屋で、評判の「きのこうどん」を食べ時間を費やした。
およそ一時間後の11時20分に出発。
潅木の道をしばらく進んでいく。時々、可憐な花々が咲いているのだが、まったく花音痴のぼくには名前がわからない。
須走口コースは、山頂までほぼ等間隔に山小屋がある感じなので、歩いていても目標がつかみやすい。
新六合目長田山荘、本六合目瀬戸館(閉鎖)、七合目大陽館、本七合目見晴館。
登るにつれ、潅木は少なくなり森林限界を越えると荒涼とした火山由来の礫岩地帯になる。場所によっては砂地のようになっておりズルズルとすべり落ちる。
今日の目的地本六合目(標高3140メートル)見晴館には16時に到着した。
到着したころになって、ようやく雲がきれ、青い空が見え始めた。ぼくの好きな雲と空のコントラストだ。
17時に夕食。カレーライスだ。びっくりするほど美味いものでもない。出されたものをただ黙々と食べる。18時に就寝。今日の宿泊客はぼくらを含めて10人程度。それでも、二人で一枚の布団のルールは変わらないようだ。一枚の布団の中でぼくと息子はすぐに寝てしまった。
夜中、暑くて目を覚ました。靴下を脱ぎ、上半身に着ていたフリースも脱いだが、それからはなかなか眠れなかった。
■二日目
深夜0時半に静かに起床。騒がしくしないように慎重にパッキングをする。出口のところに、昨日注文しておいたおにぎりが置いてある。包みに名前が書いてあるので、間違えないように頂戴する。
午前1時。外に出た。びっくりした。満天の星空。眼下には街の灯。長時間露出のできる装備をしていないので、その写真を撮ることはできなかった。
星は本当にすばらしかった。こんな星空はいつから見なくなっただろうか。
ヘッドライトの灯を頼りに真っ暗な道を登っていく。誰もいない夜道は、案外心細い。
八合目江戸屋の灯が目印だ。
1時20分江戸屋。静かだ。すぐに次の目標、本八合目江戸屋を目指す。
1時50分、本八合目江戸屋(標高3370メートル)着。ここにきてびっくり。いままで、ぼくと息子の二人だけで上ってきた登山道。
ここで河口湖からの吉田口コースと合流する。すさまじい人の数である。団体客が次々に登っていく。まだ2時前だというのに、でかい声で団体を誘導する添乗員のような男。いままで静寂の中を歩いてきたぼくらにとってこれは衝撃で、ようやく目が覚めたように感じた。
団体客のいない合間を見つけて出発。次の目標は八合五尺にある御来光館(標高3450メートル)。2時半に到着。道はなお真っ暗でよく判らないが、相当な岩場である。道は人で鈴なり状態になり、自分のペースでは歩けなくなった。
一歩ずつ進む。
3時42分。須走口山頂(3720メートル)に到着。高山病の気配も無く快調に来れた。
観光土産屋の前のベンチに腰を下ろした。風は冷たい。レインウェアを着込む。
山小屋で作ってもらった握り飯を食べた。いよいよ寒くなってきた頃合に、土産物屋がオープン。「あったかい味噌汁あるよ〜」の声にフラフラと誘われ、ぼくはコーヒーを注文。
今回の大失敗。実はバーナーを忘れた。よって、いつものように山頂でお湯を沸かせないのであった。
コーヒーを飲んで温まってから、御来光を待った。
東の空が紫に染まり始め、オレンジへと変わっていく。はるか上空の絹雲が真っ赤に染まっている。地表の雲はいまだ目覚めていない。
5時を過ぎたころ。太陽が出た。光量がみるみる増していく。空が金色に変わる。地表の雲が光を受けて身震いをする。
太陽が完全に昇りきるとあたりは一変した。
登山者達は次の目的に向かってパッと散っていった。
ぼくと息子は、測候所の見える地点まで出て、もうここからはなにも無いという高みでしばらく景色を眺め。携帯電話の使える場所を探し(結構つながらない)、おやつを食べてすごした。
富士の高みからははるかな山並みが見えた。ぼくたちは雲と山と街を見ながら下山道を下っていった。楽しい。実に楽しい。
下山道の様子は来たときと同じだった。本八合目まではずいぶん人が多かったが、吉田口方面に向かう人と別れてから、まったく変わった。ほとんどといっていいほど人がいなくなった。静かでいい。
昨夜泊まった見晴館に挨拶に行った。おかげでよい御来光が見えました。いつになく良い日の出だったね、と山小屋の主人。
9時少し前、下山道の要所、砂走りに入った。
息子には下り方を指南。グリセードの要領に近い、踵で身体を支える歩き方だ。歩き方の判らない人には、こんな砂場の急斜面を歩くのは苦行に等しい。
およそ一時間で駆け抜ける。下山にはおよそ3時間半。最後にはまた林間歩きも用意されており、ぼくはこのコース、とても気に入った。
再び菊屋に。店のばあちゃんと今日の富士の様子を話す。
帰路、温泉に入った。ヌル湯が心地よかった。
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コメント
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投稿: みんな の プロフィール | 2008.09.18 04:35
すみません。
名前 忘れました。
こにたん です。
投稿: こにたん | 2008.09.04 06:30
>名無しさん
さすがに富士山の高度感は他とは一線を画していますね。
>HOPEさん
須走口コースはお勧めです。来年は是非チャレンジしてください。
投稿: mIKE | 2008.09.03 22:50
素晴しきご来光ですねヽ(´▽`)/
僕は雨の富士でしたが、少し山の楽しさを思い出したような気がします。富士は来年までお預けですが、近場の山に少し登ろうと思ってます。メタボ対策も兼ねてですが(^_^;)
投稿: HOPE | 2008.09.03 12:30
富士山もなかなかですね。
標高の高さが違う感じです。
一度は登らないと。
投稿: | 2008.09.03 04:03