北京五輪へ
13日に帰国しました。濃密な3泊4日の旅でありました。ここにその概要を記しておきます。
■10日
成田空港を中国国際航空のボーイング757で定刻9時10分に飛び立ち、現地時間11時40分頃、北京首都空港第3ターミナルに到着。
北京の空は真っ白に霞がかかったようになっていた。北京市内に向かう高速道路は、自家用車の走行制限(偶数日はナンバー偶数の車、奇数日は奇数の車)がかかっており、とても空いていた。
北京市内にはいってまずは昼食。老北京炸醤面大王というお店でジャージャン麺を食べる。辛みそぶっかけ麺というような趣。味は単純。イメージとしては名古屋の味噌煮込みうどんから汁気をなくしたような感じ。そこそこ美味い。店の雰囲気が大衆的で良かった。
これを、こんな風に味噌のタレで真っ黒に混ぜて食べる。
その足で天安門広場。
以前来たときとはまったく違い、五輪一色。中国国内の観光客も多かった。
そして故宮。太和殿は工事が終わっていた。どの場所にいっても観光客であふれていたのだが、写真でみると宮殿があまりにでかすぎて、人がパラパラとしか見えない。
故宮の見所はたくさんあるが、今回の主目的は『珍妃井』を見ること。故宮の中にある後宮の一番北側にある井戸だ。清朝第11代皇帝光緒帝の側室であり、一番の寵愛を受けたのが『珍妃』。後に西太后に井戸に逆さに投げ入れられて殺されたといわれている。その井戸だ。
そこは、珍妃や光緒帝の悲劇を思い起こさせる入り組んだ建物の奥にひっそりとあった。珍妃の魂を鎮めるための祭壇もあり、珍妃の写真も掲示されている。とてもきれいな人だった。浅田真央に似ている、とぼくは思った。
珍妃井についたころから、空に稲妻が光、雷鳴がとどろいたと思うまもなく、すさまじい夕立がやってきた。故宮の北の端にある神武門に雨宿りをした。
30分もその中で、中国の人々や観光の外国人たちとじっと雨が上がるのをまった。
ホテルにチェックインをしてから夕食。
どうしても食べたかった餃子と佛跳牆(ぶっちょうしょう、フォーティャオチァン)というスープ。
天津百餃園という店で食べた。ここにくるのは今回で二度目。相変わらず美味かった。
佛跳牆は、フカヒレ、アワビ、ツバメの巣、ナマコ、ホタテの貝柱、しいたけが入った鶏がらスープ、といった代物。本当に美味くてコラーゲンたっぷりでおいしい。写真の壷が一人分で約1600円。わが妻かおりさんは、このスープを飲んだら「おしっこの出が良くなった」などと喜んでいたが、そんな効能があるのかどうなのか、よくわかりません。
■11日
今日は一日五輪漬け。ホテルで朝食の後、タクシーで柔道の行われる北京科学技術大学に向かった。途中、鳥の巣の前を通る。聖火がちらりと見えた。
会場は大学の構内にあり、大学には隣接して大きな団地があった。だから、ここ柔道の会場の周りは非常に静かで、日常生活があふれており、ぼくはとても気に入った。日本だったら武道館あたりで行い、周りは五輪の色で染まっているのだろうが、予想に反してとてもひっそりとした感じであった。
セキュリティチェックを受け、会場に入るとボランティアの人たちが、ぼくらを見つけていろいろと世話を焼きにくる。
ボランティアは町中にあふれており、全員揃いの青白のシャツを着ている。
会場のボランティアは、中でもエリートで、英語、日本語を話せる人が多い。面白かったのは、街の中にいるボランティア。服装はまったく同じなのだが、どうみてもそこいらのおばちゃん達。ただ、町の歩道のそこここに立っていたり、椅子に座っている。話かけても意味不明。
あれは、とりあえずシャツをもらって一日立っているのが仕事みたいなもんだ、と思った。
さて、会場の中は五輪の色と音であふれていた。
試合が始まると、独特の雰囲気というのが判った。
選手がテレビのインタビューなどで「五輪は特別」とか「五輪の雰囲気は別物」とか言うが、それは本当にそのとおりだと思う。声援の質が違うのだ。
だから、声援を味方につけると一回戦などは順調に勝ち上がることができ、選手はさらに声援に押されてグングンとモチベーションをあげていく。逆に、声援をプレッシャーに感じると体は萎縮し、いつもの力は出てこなくなる。
ぼくは日本国内での柔道国際試合を何度か見てきたが、それとは比較にならないくらいの声援の大きさと怒涛だ。その雰囲気を味わえただけでも五輪に来てよかったと思った。
さて、肝心の男子73キロ級金丸選手と女子57キロ級伊藤選手だが、金丸選手は一回戦で一本負け。伊藤選手は準々決勝まで進みながらも優勢負け。
その後、敗者復活戦を順調に勝ち上がっていくところは見ることができた。とくに金丸選手の敗者復活2戦目。このときは会場内、ニッポン!ニッポン!の大声援。ぼくも周りにいる日本人や韓国人も、なぜかフランス人も金丸選手を応援。そしてきれいな払い腰一本勝ち。歓声はこの日一番大きかったような気がする。
すべての試合が終わったのが夕方6時少し前。ぼくらのチケットでは決勝戦は見られない。会場は総入れ替え制のため、ぼくらはこれで終わり。
会場近くのバス停からバスに乗り、そして地下鉄に乗ってホテルまで帰った。
ちなみにぼくらの乗った北京地下鉄10号線はできたばかりの新しい路線で、車両も新しく、ホームにはすべてガラスの防御フェンスがあり安全にも配慮されていた。
およそ2時間かけてホテルに戻り、フロントで教えてもらった地元の中華料理屋へ。
ここで注文したのが『秘制○魚』(○は火へんに考)。メニューを見ていたらやたら辛そうだったので注文したのだが、これが大正解。から揚げにした魚一匹が、花椒と唐辛子とラー油の海の中に沈んでおり、玉ねぎやにんにく、ねぎなどの野菜がズドンとたくさん入っている。
食べれば、口の中がヒリヒリカラカラとなって刺激のあることおびただしい。しかし、美味い。断然美味い。おそらく日本の四川料理の店ではメニューに無いんじゃなかろうかと思う。
わが妻かおりさんは、昨晩のコラーゲンたっぷりの食事の延長で、本日もフカヒレ。そのほかに玉子チャーハンと緑粥、ビール、ジャスミンティーを注文して全部で290元(約4600円)。フカヒレだけで3000円するわけで。その他は全部で1600円。安い、美味い、多いの3拍子そろったお食事でした。
この店の従業員は、中国語のまったく話せないぼくら二人を遠巻きにしながらも、親切に対応してくれた。多くの日本人は中国の人々のことを誤解していると思う。その元凶は日本のまったくお粗末な政治家の仕業だ。とにかくあの神社をなんとかしてほしい。それだけで国際関係が良くなるならば、そのほうが両国にとって幸せなことだし、不必要な誤解を持つ日本人は少なくなる。
■12日
今日は北京市内の観光。
北京の古い町並みである胡同(フートン)めぐり。古い路地裏や民家を見て楽しんだ。
胡同というのは狭い路地のことで、いまは取り壊しが進みどんどん少なくなっている。
こんな場所にも、おばちゃんボランティア。一日、何しているのかな。
お昼は『鼎泰豊(ディンタイフォン)』で、小龍包と鶏スープ麺、チャーハン。
このラーメンのスープは絶品だと思う。たぶん日本の鼎泰豊支店(高島屋に入っている)では出ない品なんじゃなかろうか。今度確認必要。
わが妻かおりさんのリクエストで、景山公園の山上にある万春亭から故宮を一望したあと、夕方の王府井(ワンフーチン)へ。
王府井は北京の銀座ということだったが、行ってみるとぼくには北京の歌舞伎町のように思えた。
王府井小吃街は、屋台ひしめく場所で、ぼくのもっとも好きな雰囲気。さそりやタツノオトシゴ、ヒトデ、肉、麺、包などいろいろなものを食べ歩く人たちでゴチャゴチャだ。うーん、すばらしい。できることならここに住み込んでしまいたいくらいだ。
こんな小さな間口の店がずらりと並んでいる。まさに新宿の横丁に似ている。
さて、夜も更け、最後の食事は広西菜の店。中国料理はほんとうに種類が多い。この広西菜というのは、中国南部の広西壮自治区のあたりの料理。棚田とか桂林の風景で有名な場所。
ここは龍元堂という店。ここでもさっそくスープを注文。鶏足と生姜のスープ。これまた美味い。クコの実や生姜、にんにくがはいっており、上品な鶏がらスープに仕上がっている。煮干だしを加えたら、本当に美味しいラーメンができる。
米粉炒めも頼んでみたが、これがなんとも日本人にはピッタリの味。四川料理や広東料理の独特の臭みはまったくなかった。
満足、満腹。北京の夜は更けていった。
■13日
ホテルを朝6時半に出て、北京空港発9時5分の中国国際航空で成田に到着。ムワっと暑い日本の夏に若干閉口。新宿駅についたら無性に「箱根そば」でかき揚げ天そばが食べたくなり、食券購入。
家に着いたのが夕方5時。あわただしくも楽しく、美味しい旅だった。
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コメント
>事務局長
30年前とはまったく違うでしょうね。
やはりオリンピックを契機に大きく成長していくということだと思います。
かつての日本がそうであったように。
投稿: mIKE | 2008.08.17 11:33
これで日本選手がもう少し勝ちあがれば最高の旅でしたね。我々が行った30年前とは何もかも変わってしまった様です。
投稿: 事務局長 | 2008.08.17 09:40
>ライダーさん
どこへ行っても人がたくさんいるので、パワフルです。
でかい。なにもかもでかい。
ビルのたくさんある場所もいいけど、路地も面白い。
本当に魅力たっぷりです。
投稿: mIKE | 2008.08.17 08:49
素晴らしく、中国を楽しんでいますね、怒濤のレポートという感じです。エネルギーが渦巻いている感じですかね。
投稿: ライダー | 2008.08.16 22:37