鳴門のうず潮
徳島。
時間の合間に、いつものように鳴門大橋のところに来た。徳島にくるたび、ここ鳴門大橋に毎度来るのは、うず潮が見たいためではなく、昼飯にうってつけのうどん屋があるためである。その話は置いといて。
今日は潮の加減がよく、いつもは橋の上から見下ろしてばかりだったので、いっちょう船で繰り出して(といっても所要時間ほんの20分ほどだが)、もっと間近にうず潮にお目にかかろうと思ったのである。
乗った船は、水中観潮船「アクアエディ」という、実にかっこいい名前の船だ。
この船のすごいところは、ぼくら観光客は船の一番下(なんという名称か知らないが)に座席指定で通される。するとそこには水族館のような覗き窓がずらりと並んでいる。
ぼくらはその窓に向かって指定席に整列するのだ。
その窓はもちろん海面下にある。
そうなのである。この船はうず潮を海中から見せようという、すばらしい目的に向かって一目散に建造された船なのであった。うず潮の秘密をあばこうというわけだ。
船は厳かに船着場を離れる、と思うまもなく一気呵成にうず潮めがけて突進していく。期待満々の窓から見えるのはただただ不透明な海水と泡ばかり。
ぼくの胸にはやや疑念。このように不透明な海水の向こうに何が待っているのだろうか。
船はすぐにあの鳴門大橋の真下に到着。船が止まる。近くには大きなうず潮が回っている(はずだ)。係員の女性が、窓を見ててくださいとアナウンス。ぼくらは窓を凝視。見えるのは緑色の海水と泡。
時折、竜巻さながらの泡の渦巻きがビヨヨ~ンと横切ったりもする。が、なにか緊張感の無い景色。しばらく見ていると、今度は外にでなさい、とアナウンス。
そしてデッキに出る。
おお、やはりうず潮は海水面でぐるぐる回っている方が迫力満点だ。ぼくらはしばしうず潮を間近に見る。煽げば鳴門大橋は頭の遥か上。
うず潮に近づいたり離れたりしているうちに、ハイ、終わりぃ、という感じで船はまた一目散に船着場に戻っていった。
船の揺れと冷たい風とで、突然ぼくの腰に痛みが走るようになってしまったのは、予想外の出来事であったが、なにはともあれ、うず潮、一回は間近に見ても損はしないと思います。
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