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PYG、今、マイブーム

昔、PYG(ピッグ)という音楽グループがあった。

今からおよそ40年くらい前、日本にビートルズがやってきてから、GS(グループサウンズ)という形態の、歌謡曲的ではあるが、流行のエレキギターを前面に押し出して、自前で演奏し唄うグループがたくさん出現した。

男性が長髪にして、ミニタリールックなどというファッションに身を包みテレビに写る姿は、一部から顰蹙を買いつつも当時は新鮮であった。テレビによってアイドルが作られていく時代のさきがけとなって、一大ムーブメントが巻き起こった。

彼らの残した名曲は多く、今でもぼくら昭和30年代生まれか、その前後の人々のカラオケ常備曲となっている(はずだ)。

中でも、ザ・タイガース、ザ・スパイダース、ザ・テンプターズの3組は、それぞれ沢田研二、井上堯之、萩原健一という現在でも通じるビッグネームを排出したグループであり、当時の人気を3分していたといってもいい。

ところが、本格的な欧米のロックミュージックの台頭と、その後起きる日本のフォークソングブームの中で、GSは氷河期の恐竜の如く、あっという間に消滅する。それは見事なものだった。勃興から衰退まで、10年もなかったのではないかと思う。

しかし、先に書いた、沢田研二や井上堯之らは、日本の本格的ロックバンドを目指して、新しいグループを結成する。それがPYGである。

ザ・タイガースから、沢田研二、岸部一徳、ザ・スパイダースから、井上堯之、大野克夫、ザ・テンプターズから萩原健一、大口広司が参加した。

沢田研二と萩原健一のツインボーカルという構成が考えてみればすごいことであった。メンバーは今も俳優としてあるいは音楽家として活躍している人々ばかりだが、当時の評価は必ずしも高いものではない。

で、前置きが長くなったが、そのPYGのアルバムがCDで復刻された。

070706

今、マイブームになっている。十分に新しく、聴ける曲が多い。

特に、『花、太陽、雨』。

独特の虚無的な世界観と、曲想がぴったり合っていて実に良い。カラオケにもありますので、興味のある方はカラオケボックスに直行。

ところが、このPYG、萩原健一が俳優業をメインとするに従い、活動が制限されていく。次第にPYGというよりは、沢田研二と井上堯之バンドというカタチに変化していき、ご存知の通り、沢田研二の圧倒的爛熟世界へと引き継がれていく。

アルバム「PYG!」では、浪々と高音部まで歌い上げ、歌謡界のリーダーへと成長していくジュリー沢田研二と、独特のハスキーボイスで、歌うことでも独自の演技的世界を造るショーケン萩原健一との志向の違いが良くわかる。

今からおよそ30年以上前の貴重な音源である。


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