レオナルド・ダ・ヴィンチ展
東京上野にある東京国立博物館で開催されている『レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像』展に行ってきた。
猛烈な雨の降りしきる上野公園を突っ切り、博物館の正面へ。さすがにこの雨では客も少なく、予想していた行列もなくすんなり入館。
まずは本物の絵画、『受胎告知』を見る。
博物館本館一階に設置された絵は、薄暗く照明を落とした展示室の真ん中に置かれている。500円の音声解説装置を借り、スイッチを押して聞きながら絵の前を流れる人の列に乗る。
昔、モナリザがやってきたとき、延々と行列ができ何時間も待って絵の前を一瞬で通りすぎなければならなかったことがあったが、方式はあれと同じ。でも、今日は人が圧倒的に少なく、蛇行しながら進む人の列は気ままな速度ですすむ。
現物は、意外に小さな絵だった。しかし、間近に見る絵の存在感は圧倒的で、照明のあたる角度によって色が変わり、微細なところまでしっかりと描きこまれた筆致は感動的。色も濃く本物の迫力を感じる。
ゆっくり見たいと思った。一時間でもその前でたたずんでいたいと思ったが、さすがにそれは駄目。係員に促されて前に進まざるをえない。
次は会場を平成館に移して、ダ・ヴィンチの手稿(ノート)を元に、彼の考え方や方法論を解説した一般展示を見る。展示してあるものはすべて複製の絵画だったり模型である。
こちらでも音声ガイドを聞きながら展示コーナーを回る。これらの展示は、全部みていくうちにダ・ヴィンチの絵、たとえば「最後の晩餐」や「モナリザ」を描いたときの工夫、技術というものが理解できるような流れになっている。
彼が自然とか人体に興味を持ち、あるいは幾何学に自然の法則を見出し、光と影が織り成す色彩の変化を研究し、人間の表情を分析していく過程は、最終的にすべて絵画に結実していく。
このことをある程度知っていると、彼の絵を見たときの見方がちょっと変わる。面白かった。
およそ3時間ほど立ちっぱなしで人の流れのなかで展示物を見ていたら腰に来た。腰痛い。
展示コーナーを出たところに、ダ・ヴィンチが設計した人力飛行機の模型が展示してあった。
ちょうど上野公園の桜が開花し、窓に咲き始めた桜が写っていた。上野公園内では、気の早い人たちが雨の中、もう宴会。これから東京は良い季節になる。
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