栗駒山へ(まとめ)
9月29日の夜、夜行バスに乗り込み、ぼくは仙台に向かった。バスはおよそ9時間、寝ている間に仙台に到着するとはいえ長旅だ。リクライニングシートを目一杯倒して身体を横にしても、不規則な振動で熟睡はできなかった。
仙台には翌朝30日、7時35分に到着。すぐに仙台駅に向かい、新幹線で2駅目の「くりこま高原」駅で下車。こんどはバス停に駆け足。宮城交通の小さなバスに乗り込んで「いわかがみ平」に向かう。所要時間は90分。再びバスに揺られ、気持ちの良い収穫期の田園風景を眺めた。
いわかがみ平に着いたとき、あたりはガスでなにも見えなくなっていた。自分の雨男ぶりを恨むが仕方がない。今日は雨が降っても霰が降っても、山を越えた向こう(岩手県側)にある須川温泉にいかないとどうしようもない。
ぼくは宮城県から県境を越えて岩手県に向かうコースを行く。そして、山を越えた向こう側にある須川温泉で仲間と落ち合い、一泊することにしているのである。
歩き始めてしばらくすると沢に出た。その沢を少し遡行して登っていく。ときおり雨が降ってくる。ガスに霞みながら紅葉がときおり目にはいってきた。思いは、晴れてくれればなあ、だけである。しばらく足下だけを見ながら歩いた。
稜線に出た。風が吹き、急に視界が開けはじめた。そのとき突然、左手に栗駒山のピークと、なだらかな斜面が現れた。
斜面は綺麗な赤、黄、緑で埋まっていた。ぼくは、呆然としてしばらくそこを動くことができなかった。あまりに綺麗なのだ。しかし、ここからは、東栗駒山のピークを越え、栗駒山の外周ともいえる稜線を行くコースだ。そこを歩けばまた違う景色もあるだろうと、ふたたび歩き始めた。
歩くと、さながらパノラマでスクリーンが動いていくような感じだった。ぼくは青空も見え始めた稜線を、何もかも忘れてただ楽しくひとり歩いた。時々立ち止まっては。
やがて栗駒山ピークに近づいた。
栗駒山は火山である。斜面には溶岩の瓦礫があり、ところどころ富士山のように山肌が崩れていっている。かつての噴火口は山の中腹に、月面のクレーターのようになって開いている。
ほどなくして頂上に出た。宮城、岩手の県境である。
頂上でコーヒーを飲み、しばらく静かな山頂を楽しんだ。ここから稜線を西に歩き、こんどは岩手県側に下っていく。岩手県側ではまた違った色の山肌がぼくを迎えてくれた。
歩いては山を見、ため息だ。どこまでも続く紅葉。もうお腹一杯になった。そして今日の目的地、須川温泉に到着。足湯に浸かり温泉ホテルにチェックインした。高度差600メートル。行動時間6時間半の山旅だった。
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コメント
えっと、渡部さんの写真の前回の木を倒すために結んだロープが被写界深度を浅く(狭く)撮った奴で、今回の斧を後から撮ったのが、被写界深度を深く(広く)撮った奴です。
レンズ使いでこんな絵が撮れるんですねぇ、理論的には判るのですが、撮るには腕もかなり要ります(^^;)。
投稿: ライダー | 2006.10.09 20:11
>Yuhさん
そう、ぼくは芝の方しか知りません。あっちはこじんまり、地味。本店にはそんな仕掛けがあるのですね。今度は本店だ。
>ライダーさん
元ミノルタ、現ソニーも良いと聞きました。この道にはまり込むと危険ですね。
投稿: mIKE | 2006.10.04 15:45
ペンタックス良いですね、初めての1眼レフ(フィルム)がペンタでした。ちゃんと撮れますよ、画像自体眠くもないし。
ただ、キヤノンのリアルさとも、ニコンのシャープさとも、違うコレ!と言うものが感じられません。
その後のフィルム一眼はミノルタαでしたが、コレはマイルドすぎる、優しいと言えば聞こえは良いけど全体に甘い感じ。
最近目が異常に悪くなって、ピントがファインダーから見てさっぱり判りません、一眼欲しいけど宝の持ち腐れになりそうで、今のニコンのコンパクトデジカメで我慢してます、フルオートです(^^;)。
投稿: ライダー | 2006.10.04 02:08
え?mIKEさんが行かれたのは芝大門の支店の方なんですか?
本店は素っ裸のポスターだらけでしたよ。
投稿: Yuh | 2006.10.03 23:44
>ライダーさん
個人的に、一眼なら今はニコンというよりペンタックスでして…(^^;駄目?
某社でCCDを開発している友達もキャノンを薦めてくれました。
>Yuhさん
ヘアヌード?色とりどり??(*_*;…ガイジン?
投稿: mIKE | 2006.10.03 23:35
うわわ!被写体になるときは
「それ、ニコンですか?」って訊くことにしよう…。
一足早くに色とりどりの紅葉を楽しまれたんですね~。
私はついに牛肉飯にたどりつきましたよ。
色とりどりのヘアヌードに囲まれました。
投稿: Yuh | 2006.10.03 20:49
そんなカメラは、有りますが、防水はやめた方が
と言うか、防水カバーになるから嵩張りますよ。
絞りがマニュアルに出来るカメラなら、有る程度、
被写界深度は広く取れます。絞りをいっぱいに絞ると
今回のように明るい対象物なら、手前から無限大まで
ピントは合います。
レンズは望遠側だと平たい感じ、広角側だと立体的な
感じになります。コンパクトデジカメでもこのぐらいの
機能は付いています。
一眼との大きな違いはやっぱりレンズでしょうね、
解像度が全く変わってきます。コンパクトデジカメで
満足できないとやっぱり6万画素以上の1眼が欲しく
なりますよね。
1眼にすると、本体、レンズ数本、メモリその他で
最低15万円を覚悟しないといけません。
カメラはキヤノンがほんの少しソフトと言うか目で
見た感じ、リアルって言うのかな、そんな気がします。
ニコンは、シャープです、目で見える以上に正確に
トレースします、私はこちらの方が好きです。山は
どちらでも好みでよいと思います。
ポートレートのように女性を撮るのには、ニコンは
顔のしわがはっきり撮れるのでご年輩の方には嫌われる
かも、産毛まで写りますから。
私のつたない知識ではこんなものです。
投稿: ライダー | 2006.10.03 15:45
>ライダーさん
もう少し良いカメラが欲しいかな、と思い始めました。
ぼくの好きな写真は、たとえば山だったら手前(手元あたり)から、山の頂上あたりまでがはっきりと写り、そして空の青さも山肌の色もパンッと写っている。そんな感じです。
短焦点のレンズでないと駄目なんでしょうか。そして屋外で使える防水型。そんなカメラありません?
>事務局長殿
山でも走るなんて言わないでくださいね。でも、今の時期魚野川周辺もいい色になっているんでしょうね。八海山も。
投稿: mIKE | 2006.10.03 14:59
川も良いですが、山はほんとに綺麗ですね~。
一度連れてってください。
投稿: 事務局長 | 2006.10.02 20:47
充分、良い写真ですよ、見たままの感動を写真に出来たら、それだけで飯が食えます。液晶や、CRTでも随分見え方が違いますよ。プリントアウトしてみると違いが割と判ります。これまたインクでも違うんですけど、、、(^^;)。
底なし沼にはまります。
投稿: ライダー | 2006.10.02 19:21
>HOPEさん
山は予想以上の美しさでした。こういう景色に出会ってしまうとダメなんです。また行きたくなってしまう。
>石川さん
行動開始時点から携帯でリアルタイムに記事をアップしたのですが、山頂ではG3での電波が受信できず断念。結局、山を降りた翌日に山の写真をアップしたので、日程が判らなくなってしまいました。少し工夫しないとダメですね。それにぼくのボーダフォン携帯のカメラは画質が悪い。
>ライダーさん
山に行かないと見られない景色もありまして、今回はまさにドンピシャでした。ただ、カメラが良くない。Finepix5200で撮ってみましたが、CCDは5Mのくせにエンジンが良くない。だからダメ。思ったような写真が撮れない(腕が悪いのは置いといて)もっと良いカメラが欲しくなってしまいます。
投稿: mIKE | 2006.10.02 17:07
はぁ、ため息が出るような、出てるけど、、、景色ですネェ、素晴らしいなぁ。こんな景色だと、心身の疲れもとれるでしょ?。
投稿: ライダー | 2006.10.02 11:36
んん~~~と、呻ってしまいましたよ
素晴らしい紅葉ですね 金糸銀糸とはこの事か(^^ゞ
こちらは当分先ですね
投稿: HOPE | 2006.10.02 06:20