アジの押し寿司が旨いとき
▼小田原駅には、ホームでも、駅舎でも名物「鰺の押し寿司」を売っている。一度食べたいと思っていながら、なかなか買えないでいた。で、このたび買ってみました。はてさて、どんな味がするものか、期待に胸が踊ります。

▼片手で楽に持てる大きさながら、ずっしりと重みを感じます。身が詰まっているという充実感であります。素朴な包み紙も老舗の雰囲気を醸し出します。プリプリのアジの身が、ふっくら銀シャリの酢飯の上に静かに厳かに乗っているのでありましょうか。では、厳かに包みを開けます。

▼ひのふのみ。なんとぎっしりと9つの寿司が入っております。もちろんガリもありますね。付属の割り箸をパチンと割って、右下からいきましょう。さて、ひとくち。…。…。ぅ。固い…。ぅ。酸っぱぃ…。予想していなかった味であります。
▼アジは、酢締めしてありますが、その締め方がハンパではありません。完璧に殺してあります。したがって、身は程良いを通り越し、噛みごたえのある堅さに固まっております。噛めば噛むほど味の出るアジです。噛んでも噛んでも酢と塩の味しかしてきませんが。銀シャリは、堅さの違いでようやく認識できます。アジの身になじんでしまっております。やっぱり酸と塩のハーモニーです。なかなかです。
▼普通の寿司を想像していたぼくが間違っておりました。これはアジの押し寿司であります。保存食として身をなした食べ物であろうと思います。ガタンゴトンと揺れる汽車に乗り、さて遠くへ旅に出る。傍らには冷凍ミカンにお茶の瓶。そんな場面にもってこい。不思議な旨さの食べ物でした。
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