秋の匂い
▼朝、まだ寝ぼけた頭で、背骨あたりの筋を、こう、ジリリッと伸ばして窓をあけます。と、室温より低くて清々しい空気が、スウウッと流れ込んできて、同時に、キンモクセイの匂いです。
▼毎度、毎度。秋になると漂ってくるこの匂いが、ぼくはやはり大好きでして。なにか幸せな気持ちになるんですね。実に毎年、毎年のことで、もういいかげん、いちいちキンモクセイの匂いごときに、幸せなど感じなくても良いと思うのですが、そうはいきません。
▼ある日突然、匂ってくるものだから、その唐突さに驚きます。で、その匂いが人を迷わすような(そう思うのはきっとぼくだけ)ものなので、どうせならこのままホントに迷わしてほしい。そういう気持ちになりませんか?
▼花の匂いに迷いながら、気がついたら深い森の中にいた。なんて、実にいいじゃないですか。怖くて。そんなこと、ふと、思わせてくれる匂い。これはやはり大好きなもの。
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